計画は下山の時刻から
登山の計画を立てるとき、多くの人は山頂までの時間だけを見ます。しかし事故は、疲れがたまり日が傾く下山中に起きることが多いのです。出発前に日没時刻を確かめ、それより十分早い時刻を「どこにいても引き返す時刻」として決めておきます。案内されているコースタイムは平均的な人の目安なので、初めてならもっとかかると考え、下りにも登りと同じくらいの時間がかかると見ておくと安全です。グループなら、いちばん遅い人のペースに合わせます。
山の事故の多くは、無理な計画と遅い下山から始まります。出発前の持ち物と、山で守るべき判断の目安をまとめました。
登山の計画を立てるとき、多くの人は山頂までの時間だけを見ます。しかし事故は、疲れがたまり日が傾く下山中に起きることが多いのです。出発前に日没時刻を確かめ、それより十分早い時刻を「どこにいても引き返す時刻」として決めておきます。案内されているコースタイムは平均的な人の目安なので、初めてならもっとかかると考え、下りにも登りと同じくらいの時間がかかると見ておくと安全です。グループなら、いちばん遅い人のペースに合わせます。
山の天気は、ふもとから見る印象と違うことがあります。出発前に次のいくつかを確かめるだけで、危険の大半を減らせます。
近所の低い山でも、道に迷ったり足首をひねったりすれば、何時間も山で過ごすことになりかねません。持ち物は「予定より長くとどまることになった場合」を基準にそろえます。汗でぬれた綿の服は乾きにくく、風が吹くと体温を奪うので、速乾性の素材の服のほうが安心です。
最初の三十分は、あえてゆっくり歩きます。体が温まる前にペースを上げると、すぐに息が切れて脚が重くなります。隣の人と会話できるくらいの息づかいがちょうどよい速さで、歩幅は平地より小さくし、足裏全体で踏みしめます。休憩は長く座って体を冷やすより、短く何度もとり、のどが渇く前に水を少しずつ飲みます。汗をかき始めたら上着を脱いで汗を減らし、立ち止まって休むときにまた着て体温を保ちます。
下りは息こそ楽ですが、脚にかかる衝撃が大きく、疲れで集中力も落ちているため、すべったり足首をひねったりしやすくなります。ひざを軽く曲げて歩幅を小さくし、ぬれた岩や落ち葉、砂利の下り坂ではさらにペースを落とします。トレッキングポールは、下りでひざへの負担を分散するのに役立ちます。道がはっきりしないときは、近道に見える道を下らず、標識のある元の道に戻ります。
山頂を目の前にして引き返すのは残念ですが、山でいちばん大切な判断です。次のような状況になったら、計画にかかわらず下山を始めます。体が震え、ろれつが回らなくなるのは低体温のサインかもしれません。風を避け、乾いた服に着替えさせて体温を守り、助けを呼びます。
同じ山でも、季節によって危険の種類が変わります。夏は暑さと脱水、急な夕立や雷が、冬は寒さと凍結、短い日照時間が大きな危険です。春と秋は、ふもとは暖かくても稜線や山頂は風が冷たく、日が沈むと気温が急に下がります。とくに冬の山の日陰の道は、昼間でも凍っていることがあるので、すべり止めの道具なしには入らないほうが安全です。
けがをしたり道に迷ったりしたら、まずその場で止まり、安全な場所に移ります。むやみに動くと体力がすぐに落ち、救助隊も見つけにくくなります。登山道にある位置標識の番号や携帯電話の位置情報で現在地を伝え、緊急通報の番号で助けを求めます。携帯電話の電池を節約するため、不要な操作は控えます。持病がある人や久しぶりに山に行く人はやさしいコースから始め、胸の痛みや強いめまいなどの症状があればすぐに止まって助けを受けてください。
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